2011年6月24日金曜日

SONY SS-G5 再度考察

SONY SS-G5について少し説明します。

初年度発売時期は1977年とのことなので、既に30年以上前の
設計となるかなりのご老体です。

システムの構成は3Wayで、Lowに30cmウーハー、Midにコーン
型スコーカ、Hiにチタン箔を用いたドーム型ツイータを採用して
います。
特筆すべきは、ウーハーにアルニコを採用しており、現在では
入手困難な希少材料が用いられています。

また、ダンピング特性改善の為なのか、エッジにダンプ材が塗布
されています。

ミーハーな私としては、アルニコと聞いただけでありがたく感じ
てしまいますが、脱磁現象を考えると、現代の磁石の方が性能が
良いのかもしれません。

土手っ腹と呼ばれるネットを外すと、聴感上の定位を考慮した
配慮により、ウーハーが若干前面に配置されています。



また、AG(アコースティックグルーブ)ボードという、板チョコ
レートのようなバッフルで、ユニットから放射される音波とバッフ
ル面からの定在波との干渉を最小限に制御しているそうです。

付き板の仕上が、時代を感じさせますが、全体的に見て「家具調」
という言葉がぴったりくる感じがします。

音は、バランスが良く、聞き疲れのない優しい音です。
現代の同クラス品に比べると、音の張りや艶、解像力は負けます
が、音楽を再生する能力は非常に高く、癒しのある音質です。



1970年後半から1980年代は、日本が誇る電気・家電メーカー
には必ず音響部門があり、現在では考えられない程のコストを
かけて製品を開発していました。
SONYと聞いて、民生用の高級オーディオをイメージする方は
あまりいないと思いますが、SSシリーズは時代が生んだ家電遺産
なのです。

さて、唐突ですが、30cmウーハーといえば、JBLの4312MKと
少々お付き合いしたことがあるので、それとの違いを少し書きたい
と思います。

環境も、接続する機器も、聞いてた音楽も違うので、思いっきり
私の個人的な感想になってしまいますが、4312の印象は、想像
より"鳴らないな〜"って感じでした。
これは、単にパワーを与えていなかったからで、しっかりとスイング
させると、JBLらしい力強い音に変化します。
バスドラは、JAZZ LIVE BAR の最前席で聞く様な、鋭いアタック
を再現してくれ、だらしなく裾広がりな低音ではなく、アスリート
のような低音のようでした。
音の解像力もさすがモニターです。粗さはありましたが、分離感など
も申し分なかったように記憶しています。

一方、G5ですが、想像より"鳴るな〜"(笑)って感じです。
パワーを与えたJAZZでは、円く膨らんだ低音を奏でますが、ECM
録音のソースなどは、結構良い線いきます。
そうです、ピアノとか、弦ものとの相性はかなり良いのです。
奇麗という表現ではなく、気持ちのよい高音と、フォルテシモで
グッウっと潜り込む様なピアノの低音の再現力、音楽的表現力は、
とにかく気持ちがよいです。

ボーカル系のハウスなどは、JBLに軍配が上がります。音の分離感が
よいので、よくボーカルが聞こえてくるのですが、G5はボーカル帯域
より下の部分がうるさく感じられますが、これはセッティングのせい
もあると思います。

アンプに対する変化は、G5の方が敏感な様な気がします。
市販品のアンプはことごとく処分してしまい、変態な機器しかありま
せんが、300Bのシングル出力 WE 91タイプや、MOSFET 50W等の
私としては製作に成功したアンプ類を繋げると、各アンプのキャラク
ターを良く表現します。
先日作成した10W程度のアンプでも、気持ちよく鳴ってくれます。

最後に、悩みどころとしては、現在の環境ではG5をフルスイングさせ
ることが出来ないことです。

因に、オークションでは最高額紙幣一枚程度で落札したことを、付け加え
ときましょう。

2011年6月23日木曜日

SONY SS-G5

前回のブログでは、DCアンプのレビューをした。
最後にチラットフロア型スピーカーが出てきました
が、あいつは最近ヤフオクで落札した掘り出し物で
す。
掘り出し物と言っても、価値を認める人には宝物で
しょうが、我が家にやって来たスピーカーを手放した
人からすると、価値が無くなったのでしょうか...

さて、SS-G5は、ソニーが心血を注いだ名機なので
す。音出しをして、その自然で聞き疲れのしない音
で毎日音楽三昧です。

現代のスピーカーに見られる様な張りのある音と、
解像力は持ち合わせていませんが、デカイ ウーハー
(30cm)と、デカイ エンクロージャーが奏でる
アトモスフェリックな重低音は、現代のブックシェルフ
では味わえません。

さて、G-5の末っ子、G-3ならヤフオクで1万円程度
でゴロゴロ出品されています。(2011/06/23現在)
毎日のように、ヤフーアラートが携帯に届いています。

G-3も欲しいので、買い漁って、奇麗にクリーニングして
3万円程度で売りさばこうか、と思うくらいです。

2011年6月13日月曜日

10W DC AMP ファーストインプレッション

アンプが完成しました。

何台目でしょうか、数えたことは無いですが、ちゃんと
した形になったアンプだと、5〜6台目なのでしょうか。

いつもながら、火入れの時は緊張、と言うかワクワクと
いうか、複雑な心境です。


これが今回のアンプの全容です。
ケース内は比較的すっきりとしています。


増幅部です。
レイアウトは左右対称で、気持ちが良いくらいに
シンプルです。

調整用にスズメッキ線がぴょこっと飛び出している
部分がいくつかあります。


整流用ダイオードは3Aと、大きなものを選定しました。
これは、以前A&Rラボの出川先生にお会いした際、
ダイオードは余裕を持って選んだ方が良いとの助言を
頂きましたので、それに倣いました。

ダイオードを8本も使っているのには、理由があります。

3Aのマイナス電源用3端子レギュレータがディスコンで、
1.5Aも在庫限りの様です。

正電源を2つ用いて、正負電源を製作するには、2回路分
のトランス2次出力と、それぞれにブリッジを組む必要
が有り、苦肉の策です。

ただし、多回転トリマで調整された電圧は、正負ともに
完璧なバランスを保っています。
これは、固定レギュレータでは実現できない領域です。


整流コンデンサは小さくなってしまいましたが、余裕のある
ダイオードと、3端子レギュレータで、比較的良い直流が
得られているとの仮定もあり、4700μで我慢しています。


それで、出て来た音は、DCアンプらしいリニアリティの
ある、素直かつダイナミックな音です。

が、スピーカーがショボイせいか、ラジカセの様です。。。
高域の伸びは素晴らしく、キックの歯切れの良さも流石なの
ですが、音はC級。。。

ドライブしきれないのはわかっていたのですが、模様替え
ついでにつないでみたら。


つづく


2011年6月8日水曜日

ドM!! オーディオ製作

入試模試で、問題は理解しており、回答へのプロセスも出来ていて
点数につながらない。
「君はケアレスミス、とにかく計算ミスが多すぎるよ。」
昔の記憶が蘇った。

とにかく注意力散漫で、ふとした瞬間に集中力が途切れてしまう
癖があり、さらにちょっとしたステップをすぐに端折るものだか
ら、何事も完成度は低い。

自分の性格を、そのように理解しているのだが、なかなか改めら
れない。

DCアンプの設計は問題無く終わり、製作も順調だった。

ただし、酒を飲みながらの製作と、子どもの面倒を見ながらの
一日1時間程度の製作条件は、集中力を欠如させるに充分だった。

電源は問題無く動作する。
当たり前だが、設計通りのスペックを発揮し、調整もすんなり
行なえた。

次いで、バイアス調整である。
コレクタ間にテスターを挿入し、バイアス電流を監視する。
ふらついている電流が設計通りの値にびたっと決まるはずが、
どんどん電流値が上がり、止まらない。

調整用のトリマを左右に振るが、なんら変化は無く、テスター
の数値だけが天井知らずに上昇した。

パチン!!という音とともに、トランジスタに供給する電源にかませた
470μが破裂して、吹き出した電解液をまともに顔面で受け止めて
しまった。

しまった!!!!!

すぐさま洗面所に駆け込み、水で洗い流す。
眼鏡をかけていて、九死に一生を得た。

古い機材ではなかったので、PCBに汚染されることもないが、あと味
は最悪である。

配線と設計図とを見合わせると、バイアス調整用の配線が一部未配線
だった。
ケアレスミスである。

抵抗で分圧されるはずが、これでは何の意味も無い。

取り急ぎ手持ちの電解でパスコン周りを組み立て直し、配線も終了。
再度調整すると、Lchはばっちり計算値で決まったが、Rchがダメ。。

完全に熱暴走でバイアス監視用のトランジスタを壊してしまったようだ。

また、秋葉へ行くのか。。。

2011年6月2日木曜日

ハイコストパフォーマンス

RSからトロイダルトランスが届きました。

価格は破格の2千円台!!



納期は1ヶ月も先だったが、早く手に入って
ちょっぴり得した気分です。

調べてみると、このトランスはマレーシアの
http://www.bando.com.my/
という会社が製造しているらしい。

名だたるオーディオ会社に納品しているようで、
信頼がおけそうです。

私の手元にやって来たトランスもマレーシアか
ら納品されたのでしょうか。

サイズは18Vの2.22Aの2回路構成です。

今作っているアンプでは17V取りたいので、計算
すると、

まず、購入したトランスは115V用なので

115V : 18V = 100V : XV
XV = 15.65V

このXVを直流にすると、

V = 15.65V x √2 - 0.6 x 2(ダイオードの降下電圧)
V = 20.9V

となります。

レギュレータで3V程度降圧させると考えると、ちょ
うど良い計算になります。

さて、どうなるでしょうか。楽しみです。

レベルを監視しながらのDJ

Jamさんへ。


レベルメーターをチェックしながらDJを行うことは
とても重要なことです。


DJには、ダンスの足を止めない、心地よい空間を
演出する等のスキルが要求されますが、技術的には、
設定したピークを越えないMixを心がけるのも重要
です。


ここのところを理解していない自称DJが多く、大概
技術屋さんが裏でリミッタを仕込みます。


もちろん、ミキサーの特性を理解していて、あえて
ゲインオーバに持ち込むこともありますが、基本は
0dbを頭にしてMixしていくのが上手いDJの様に感じ
ます。


因に、Joe Claussell大先生がアイソレータでブーストさ
せるときは、ボリュームポッドも操作しています。
つまり、レベルオーバにならないよう、気を使っているの
です。


さて、本題。


実は私も以前アナログメータを製作しようと思ったこ
とがあり、ちょいちょい調べていたのですが、対数を
フィルタで構成するのが面倒で、正確なVUメータ製作は
頓挫したのですが、こちらに良いものがありました。


「いまからはじめる電子工作」
http://sweetpy.sakura.ne.jp/imakara/

にピークレベルメータの製作があるそうです。

こちらの本を解説したページがこちら。
http://sweetpy.sakura.ne.jp/imakara/design/s431/s431.htm

初めはちょっと難しく感じるかもしれないが、チャレンジ
すると、電子工作スキルがアップしますよ。

P.S
製作にはざっと見て、4〜5000円程度かかりそうです。
こちらは完成していて4000円台です。
もちろん自作の方が100倍楽しいですけどね。
http://www.soundhouse.co.jp/shop/ProductDetail.asp?Item=126^DBDISPLAY^^

2011年6月1日水曜日

10W DC Amp

頭のなかで、回路図を考えているのと、実際に
紙に起こしてみるのとでは雲泥の差です。

紙に書き始めたとたん、色々と悩むのですが、
今回製作する10Wアンプは、初段をどうしよ
うか悩みました。

人間、低い方へ流れがちですが、私も同様です。

振幅増幅はオペアンプに任せよう。。

しかし、これはアンプ内の省スペース化と、何も
考えずとも優秀な特性を得られるので、最良か
とも思えます。

そんなこんなで、資料を引っ張り出して計算して
いたら、完全に定本のデッドコピー(使用トランジ
スタや、各種定数は違うが)になりました。

カップリングを入れるかも、悩みどころですが、
今回は完全なDCとしました。

しかし、受け入れる機器の素性や、他の機器への
影響を考えると、万が一のDC漏れやDC増幅に
対しての対策は必要かとは思います。

よって、メインシステムの場合は、コストは増し
ますが、フィルムコンデンサで最小限のカップリング
は挿入します。

もちろん、カップリングの周辺抵抗とでハイパス
フィルタを構成しますから、容量の決定は慎重かつ
余裕をもたせます。



さて、これが今回のアンプの増幅部です。

とてもコンパクトに仕上がっていると思います。

バイアス関係と、出力はヒートシンクでサンドイ
ッチして、熱結合してあります。

若松通商でこのヒートシンクを見つけたときは、
雷に打たれた様に、この方法をひらめきました。

一つ200円台だったと思いますので、結構安価に
ヒートシンクを手に入れたと思います。

NFB用のコンデンサはニッセイのフィルム、電源
関係は一般的な電解(といっても低FSR)です。

基盤裏の配線は錫メッキ線で、Point to Point配線
してあります。

電源電圧は±17V(34V)で、ファイナルで2A程度
を予定しているので、それらが仕様的にクリアされて
いるトランジスタを選定します。
全て一般的な汎用品を用いてます。

ただし、抵抗はタクマン電子製(Ley)を用いてます。
今まで使ってきた抵抗で、コストパフォーマンスと
音質を総合的に見ると、これを越えるものはない
ように感じます。

つづく