2014年8月21日木曜日

一級整備士とは何か?


一級整備士とは何をする人なのか....

昔整備士であった私からすると、二級が最上級であり、二級がエンジンやシャシ
などの重整備を行い、二級が最前線の先頭でした。
そこに突如一級という資格が表れたのです。
(運輸省時代から一級整備士の話が....等という未確認情報もあったりして、どうし
て今頃?今更??という感は私にもありました。)

昨今、と言っても10年以上前の話ですが、整備士の地位向上について大きな動きが
ありました。
2001年に一級整備士の資格が新設され、実務経験をつんだ精鋭達の狭き門
として登場したのです。

一級整備士が新設されて、数年の一般的な整備士達の反応は大方懐疑的で、訝しげな
目で見ておりました。

一級整備士の目的は、以下リンクにありますが、簡単に言えば「高度な電子
制御に対応できる整備士の育生」にあるかと思います。
<http://www4.jaspa.or.jp/jaspahp/user/mechanic/1st_answer.html#ans01>

それまでの自動車における電気系統は、バッテリー電圧と同じ12Vが車内
に張り巡らされており、根気さえあれば大概の系統を追うことができました。
この時、故障診断ツールとしてデジタルマルチテスターが活躍することは言うまで
もありません。

しかし、昨今の自動車は、ノードラインで各モジュールがネットワークで接続
され、一般的に5Vで制御されるパルス信号が飛び交うようになりました。

簡単に言うと、ECU(CPU)以外の小さなサテライトコンピュータが、メーターや
ステアリング、トランスミッションそれぞれに付いており、それぞれ固有の情報
は絶えずECUと通信しております。
「ネットワーク」化された接続ともなると、サテライトコンピュータ同士で通信系
等を持つ自動車も少なくないと思います。

この場合、デジタルマルチテスターで診断できる項目は1/3程度で、それ以外はテス
ターの数値がフラフラする良く解らない信号です。なので、専用テスターが必要
となります。(Ferrari SD2/3 はA/D変換機能を持つ、アナログとデジタル信号の
両方を扱うインターフェースでした。←この時、フェラーリが大きくモダン化された
時期と言える。)

「そんなに大きく変わってるかな?今も昔も自動車用診断テスターがあって、
メモリー診断やデータ診断できたじゃん??」
と言う人は、深い部分を突いていると思います。

アナログな抵抗値をA/Dコンバートしてデジタル処理....などという蘊蓄は飛び
越して、自動車整備の実際を見てみると....

そうです、診断方法はそう変わりません。
個別にセンサー情報を取得したり、Gセンサー(こんなもんGTRとか特殊な車にしか
付いてなかったからな~)にアクセスしたりと、とても便利ですが一般診断モードは、
「ちょっとバカでも使える」ようになっております。その為のマニュアルもしっかり
と用意されております。

結論から言うと一級整備士とは、見えづらい電気信号の不具合について、分かりやす
く説明できる整備士であると言えるのではないでしょうか。

故障の症状がる→推論する(テスタ)→何故そのようになるのか推論する(ヒト)→
故障箇所を推定する(ヒト)→カプラを外したり、その他の外部的要因を与え故障
箇所を確定する(ヒト)→故障箇所を交換する(ヒト)

というロジカルなフローの間には、デジタル信号という見えない信号が介在しており、
見積もりや修理を実行するにあたっては、これらを的確に説明できることが必要と
なります。

ですから、一級整備士は講習でオシロスコープを用いた実習を行なうのです。
オシロスコープを整備の実際で使えとは言ってないのです。(多分...)

(陰謀的な側面から...電気自動車の普及にあたり、バッテリーの交換は数年おきに
必ず起こる。またそのリサイクル費用も顧客負担を強いる。その最前線で顧客を
説得する為に生まれたのが一級整備士だとか!?)

正規輸入代理店の息のかかったFerrariのサービス工場に、クダラナイ テストを受け
るようにとお達しがありました。

なんでクダラナイかと言うと、オシロスコープのトリガとは云々・・・なんて問題が
いくつもあったからです。

そうじゃないだろ!!オシロなんてツールだし、オシロで測定する情報がどんなも
んかを知っていることが重要だろ!!とツッコミを入れたくなりました。

まぁ、何というかそのテストは不合格でしたけどね....(爆)

「エアバックのカプラ端子には金メッキが使われている理由を述べよ」という問題に
色々と述べたのですが、なんとバツでした。
答えを知りたかったのですが、輸入元は答えを公開しませんでした。

2014年8月11日月曜日

オープンな場には、知と人が集まる

旧長野県知事の田中康夫氏は、知事室を1階に設置し、かつガラス張りに
しました。
透明性を確保する為であったとされております。
まぁ、当時の庁舎内は、相当に透明でなかったのでしょう...

さて、本題に移ります。
飲食店や製造業において、「企業秘密」なる言葉を良く耳にします。
しかし、一方で技術をどんどんオープンに公開していく方々も存在します。
生き残る技術としての「秘密」と、生き残る技術としての「オープン」、非常に
興味深い事例です。

私は「オープン」派を支持します。というか、私自身がオープンなのかと思います
が...

日本の得意芸の製造業や、繊細な味付け、おもてなしを実践する飲食業、その本質
は決して一朝一夕でまね出来るものではありません。

「企業秘密」と称するものは、意外に秘密でもなんでも無いかもしれません。
その秘密を公開することで、利益が脅かされるとか、企業活動に支障を来すのなら
ば、ビジネスモデル事体が脆弱であり、別に考える部分が大いにあります。

莫大な研究開発費を投じて、市場に先んじて技術や製品を投入するビジネスモデル
の場合は、秘密の管理はとても重要で、上記の記述には適合しないわけですが、
最近では故意的なリークを用いて、市場操作を行なうこともチラホラ....

まとめると、職人によるものつくりやサービスにおいては、秘密として非公開に
するよりも、公開した方が何かとメリットがあるように感じます。

議論における「知の刺激」のように、誰かのアイデアに触発されて、更に良いアイ
デアが生まれて行く連鎖のように、オープンな場には、更に成長すべき情報やアイ
デアが集まってくるようです。

例えば、星のリゾートの社員教育に関する書籍「星野リゾートの教科書」は、おし
げも無く、従業員が従うべき考え方を公開しているし、カスタムナイフ
suzuki knife works」では、カスタムナイフの制作過程や技術をブログでどんどん
公開しています。

両者の共通点は、コモディティ化を脱して、強い経営体質を作り上げている点でしょう。

2014年8月1日金曜日

西田刃物の包丁を買った

以前、ブログで紹介した菊光の包丁が、短期間でボロボロに
なってしまい、本当に残念です。

しっかりした包丁を手に入れようと思い、以前から気になっていた
西田さんの包丁を買いました。


武田や菊光より厚みがあり、重厚です。
これで¥5,000-ですからコストパフォーマンスは高いです。
(いけない、使ってみないと何も判らないのに...)

やや小振りなのも好感が持てます。

武田は厚みが薄く、魚の骨は不安ですが、こちらは大丈夫そう。
魚や肉、野菜までオールマイティーに対応してくれそうです。

良い買い物した。

使ってみて本当に良かったら、青紙の割り込みも買ってみようかな...